本学の直井里予講師が執筆に参加した共著書『つながりあう身体─ケアと共振のエスノグラフィー』(堀江未央・木曽恵子編/京都大学学術出版会)が、2026年5月に刊行されました。
本書は、人と人との関係性やケアのあり方を多角的に探究するエスノグラフィー研究の成果をまとめたもので、医療、福祉、芸術、地域社会など多様な現場における「共振」と「つながり」をテーマに考察しています。
直井講師は、第3部「共振と理解のあいだにたたずむ」に収録された第8章「HIV陽性者の生と死を語る:映像ドキュメンタリー制作の向こうに現れた分離と共振」を担当しました。
本章では、北タイを舞台としたドキュメンタリー映画『昨日 今日 そして明日へ・・・』の制作・上映経験をもとに、映像が人と人との関係性をどのように形づくるのかを考察しています。撮影現場では、「撮る側」と「語る側」という立場が固定されたものではなく、互いに影響を与えながら揺れ動く関係として存在します。さらに、カメラには捉えられなかった出来事や語られなかった経験にも目を向けながら、記録行為を超えて生まれる「共振」の瞬間や、映像を媒介としたケアの可能性と倫理について分析しています。
ファッション、デザイン、アートの教育においても、多様な社会課題や人との関係性を理解し表現する力は重要です。本書で示された視点は、映像表現のみならず、創造的実践を通じて社会と向き合う本学の教育にも通じるものといえます。
書籍情報
『つながりあう身体─ケアと共振のエスノグラフィー』
- 編者
- 堀江未央・木曽恵子
- 出版社
- 京都大学学術出版会
- 刊行
- 2026年5月
- 書籍詳細
- 京都大学学術出版会:つながりあう身体